老後にいくら入ってくるかは、「ねんきん定期便の年金見込額 + 配当金」で計算できます。 この記事の早見表に、ご自身の数字を当てはめてください。
平均値の話はしません。年金額は勤続年数と給与で1人ずつ違うため、 平均を見ても自分の老後は1円もわかりません。必要なのは自分の数字です。
- 年金+配当の合計月収がわかる早見表
- 不足額から「必要な投資元本」を逆算する表
- 年金は課税、NISAの配当は非課税という手取りの差
- 配当を確定申告すると保険料が上がることがある理由
その前に:共済年金はもうありません
公務員の年金を「共済年金」と呼ぶ習慣が残っていますが、 共済年金は2015年10月に厚生年金へ統合されました。
現在の公務員が65歳から受け取るのは、次の3つです。
| 階層 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 1階 | 老齢基礎年金 | 全国民共通。加入期間で決まる |
| 2階 | 老齢厚生年金 | 給与と加入期間で決まる。旧共済期間分もここに含まれる |
| 3階 | 年金払い退職給付 | 2015年10月に旧職域加算の代わりに創設された制度 |
2015年9月以前の共済加入期間が消えるわけではありません。 その期間分も厚生年金として計算され、支給されます。 古い記事で「公務員は共済年金だから手厚い」と書かれていることがありますが、現在の制度は会社員と同じ枠組みです。
用意するもの:ねんきん定期便だけ
毎年の誕生月に日本年金機構から届くハガキです。手元にない場合は「ねんきんネット」で確認できます。
50歳以上の方
「老齢年金の種類と見込額」の欄に、65歳から受け取れる年金の見込額が年額で書かれています。 この金額を12で割ると月額になります。年額240万円なら月20万円です。
50歳未満の方
定期便に書かれているのは「これまでの加入実績に応じた額」です。 将来の見込額ではないため、この数字はまだ小さく出ます。 ねんきんネットの試算機能を使うと、今後の働き方を条件にした見込額を出せます。
早見表A|年金と配当を足した月収
縦にご自身の年金月額、横に配当の月額を取ってください。交差する数字が老後の月収(額面)です。
※横にスクロールできます
| 年金月額\配当 | 配当0円 | 月1万円 | 月2万円 | 月3万円 | 月5万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月14万円 | 14万円 | 15万円 | 16万円 | 17万円 | 19万円 |
| 月16万円 | 16万円 | 17万円 | 18万円 | 19万円 | 21万円 |
| 月18万円 | 18万円 | 19万円 | 20万円 | 21万円 | 23万円 |
| 月20万円 | 20万円 | 21万円 | 22万円 | 23万円 | 25万円 |
| 月22万円 | 22万円 | 23万円 | 24万円 | 25万円 | 27万円 |
| 月24万円 | 24万円 | 25万円 | 26万円 | 27万円 | 29万円 |
| 月26万円 | 26万円 | 27万円 | 28万円 | 29万円 | 31万円 |
年金が月20万円で配当が月3万円なら、合計23万円(黄色のマス)。 まずこの数字と、今の生活費を比べてください。 足りていれば投資を急ぐ必要はありません。足りなければ、次の表で必要額を計算します。
早見表B|不足額から必要な投資元本を逆算する
生活費から年金を引いた不足額に対して、いくら投資すればよいかを示した表です。 配当利回り4%、NISAで非課税という前提で計算しています。
| 月の不足額 | 年間で必要な配当 | 必要な投資元本 |
|---|---|---|
| 月1万円 | 12万円 | 300万円 |
| 月2万円 | 24万円 | 600万円 |
| 月3万円 | 36万円 | 900万円 |
| 月4万円 | 48万円 | 1,200万円 |
| 月5万円 | 60万円 | 1,500万円 |
| 月7万円 | 84万円 | 2,100万円 |
| 月10万円 | 120万円 | 3,000万円 |
計算式は「月の不足額 × 12 ÷ 0.04」です。 月5万円の不足を配当で埋めるには、1,500万円の元本が必要になります。
この数字を見て「思ったより多い」と感じたなら、それが正しい感覚です。 配当だけで生活費を賄うのは、現役時代の相当な蓄積が前提になります。
利回りが変われば必要額も変わります
月3万円の配当を得るために必要な元本を、利回り別に計算しました。
| 配当利回り | 必要な投資元本 |
|---|---|
| 3.0% | 1,200万円 |
| 3.5% | 約1,029万円 |
| 4.0% | 900万円 |
| 4.5% | 800万円 |
| 5.0% | 720万円 |
⚠️ 高利回りを前提に計画を立てないでください
利回り5%で計算すれば必要元本は720万円に減ります。数字上は楽になります。
しかし利回り5%超の銘柄には、株価下落が原因で利回りが上がっているものが混ざります。 減配されれば計画そのものが崩れます。 計画は利回り3.5〜4%で立て、実際にそれ以上もらえたら上振れとして扱ってください。 銘柄の見極め方は買う前に見る5つの数字にまとめています。
年金は課税、NISAの配当は非課税
早見表Aの数字は額面です。手取りは、年金と配当で扱いが変わります。
| 収入 | 税金 | 社会保険料 |
|---|---|---|
| 公的年金 | 雑所得として課税される(公的年金等控除あり) | 介護保険料・健康保険料が天引きされる |
| NISA口座の配当 | 非課税 | 影響しない |
| NISA以外の配当 | 20.315%が源泉徴収される | 申告すると影響することがある |
年金からは所得税・住民税に加えて、介護保険料と健康保険料が天引きされます。 額面月20万円の年金でも、手取りは18万円前後になることがあります。 正確な天引き額は自治体と所得で変わるため、市区町村の窓口で確認してください。
一方、NISA口座の配当は非課税で、手取り=額面です。老後の収入源として効率が良いのはこちらです。
NISA口座でも受取方式の設定を誤ると課税されます。月3万円の配当が月2.39万円まで減ります。 設定の確認方法は株式数比例配分方式の記事をご覧ください。
⚠️ 配当を確定申告すると保険料が上がることがあります
特定口座(源泉徴収あり)の配当は、申告しなければ手続きは完了しています。 ここであえて確定申告して配当控除を受けると、税金は戻る一方で合計所得が増えます。
退職後は国民健康保険料や介護保険料が所得に応じて決まるため、 戻ってきた税金より保険料の増加が大きくなるケースがあります。 現役時代とは損得が逆転します。申告するかどうかは、市区町村の保険料試算を確認してから判断してください。
65歳より前の期間を忘れないでください
年金の受給開始は原則65歳です。60歳で退職すると、その間の収入は自分で用意することになります。
この空白期間の設計と、退職金をどう配分するかは 退職金1,800万円を一括投入してはいけない理由で計算例つきで解説しています。 早見表Bで必要元本を出したら、次はこちらを読んでください。順番が逆になると資金が足りなくなります。
なお、生年月日によっては65歳より前に「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる場合があります。 対象かどうかはねんきん定期便に記載されているため、必ず確認してください。
自分の表を3ステップで完成させる
- ねんきん定期便で年金月額を出す(年額 ÷ 12)。これが土台です
- 今の生活費から老後の生活費を見積もる。通勤費・被服費が減り、医療費が増えます。 現役時の8割程度を目安に置いてください
- 不足額を早見表Bに当てはめる。必要な投資元本が出ます。 今の資産と比べて足りなければ、退職までに積み上げる額が決まります
この3つを紙に書くだけで、老後の資金計画は形になります。 現役世代の積み立て方は公務員の老後資金計画にまとめました。
まとめ:数字が出れば、不安は課題に変わります
老後のお金が不安なのは、金額を知らないからです。
- 年金月額はねんきん定期便でわかる。平均値は見なくていい
- 年金+配当が老後の月収。早見表Aで合計を出す
- 不足額 × 12 ÷ 0.04 が必要な投資元本
- NISAの配当は非課税。年金は課税・保険料の天引きがある
「不安」は解決できませんが、「月3万円足りない」なら解決できます。 必要なのは900万円だと分かれば、あとは積み上げるだけです。 今日、ねんきん定期便を探すところから始めてください。
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NISAの非課税枠は使わなかった年の分が翌年に繰り越せません。早く始めるほど枠を活かせます。
【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。早見表の年金月額・配当額・配当利回りはすべて計算例であり、実際の年金額は加入期間・報酬額・生年月日等により個人ごとに異なります。ご自身の年金見込額は必ずねんきん定期便またはねんきんネットでご確認ください。税金・社会保険料の取り扱いは所得や自治体により異なるため、具体的な判断は税務署・市区町村の窓口・税理士等にご相談ください。年金制度およびNISA制度の内容は2026年8月時点のもので、改正される場合があります。株式投資には株価変動・減配・元本割れのリスクがあり、配当は将来にわたって保証されるものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。
