ジャフコグループとはどんな会社?
ジャフコグループは1973年に野村証券を母体として設立された、日本最大級の独立系VC(ベンチャーキャピタル)・PE(プライベートエクイティ)会社です。2022年に野村証券が保有全株式を売却し、完全独立。東証プライムに上場する「ファンドの運営会社」という珍しいビジネスモデルを持っています。
現在約99社のポートフォリオ企業に投資しており、過去にはマネーフォワード・UUUMなど今日の有名企業の成長を初期から支援してきた実績があります。
VC/PEってどんなビジネス?まずここから理解しよう
製品を作って売る「製造業」や、お客様にサービスを提供する「小売業」とは全く異なります。
ジャフコは「有望なスタートアップ・未上場企業を見つけて資金を投じ、その企業が上場(IPO)したり他社に買収(M&A)されたりしたときに大きな利益を得る」という投資ビジネスです。
重要ポイント:利益が出るタイミング(=ポートフォリオ企業の出口)に大きく依存するため、業績・配当が毎年大きく変動するのが最大の特徴です。好況期(IPOが多い年)は大きな利益→高配当、不況期は低利益→低配当となります。
基本情報
現在の株価・配当情報
スクリーニング指標
高配当株スクリーニングの10指標で評価します。VC/PE会社という特性上、一部の指標は通常の製造業とは異なる解釈が必要です。
| 指標 | この銘柄の数値 | 目安 |
|---|---|---|
| 配当利回り (株価に対する配当金の割合) |
5.95%(予想133円) | 3.5%以上 |
| 自己資本比率 (財務の安定度) |
84.96% | 40%以上 |
| 有利子負債倍率 (借金の多さ) |
ほぼゼロ(投資業・実質無借金) | 1倍以下 |
| PER (株価収益率・割安度の目安) |
18.11倍(利益変動が大きく毎年変化) | 15倍以下 |
| PBR (株価純資産倍率) |
0.89倍(純資産割れ・割安) | 1.5倍以下 |
| 配当性向 (利益のうち配当に回す割合) |
107.6%(2026年3月期実績) | 20〜60% |
| ROE (自己資本利益率・経営効率) |
5.7%(利益が低い年のため) | 8%以上 |
| 営業キャッシュフロー (実際の現金の流れ) |
変動あり(VC特性・出口タイミング次第) | 必ずプラス |
| 連続増配年数 | 連続増配なし(業績連動で大きく変動) | 10年以上で優良 |
| 時価総額 (会社全体の値段) |
約1,228億円 | 500億円以上 |
10指標中クリアは5項目(配当利回り・自己資本比率・有利子負債・PBR・時価総額)。配当性向・ROE・連続増配の3項目は外れますが、これはジャフコがVC/PE会社という特殊業種だから。利益が年によって大きく変動するため、通常の高配当スクリーニング指標では正確に評価できません。「PBR0.89倍・利回り5.8%・自己資本84%」という組み合わせを、VC投資会社特有の視点で評価することが重要です。
10年グラフ
過去10年の配当金推移
※2021年10月1対3株式分割。表は分割調整済み(2016〜2021年)・実際の支払額(2022年以降)で表示。
| 年度(3月期) | 1株あたり配当金 | 前年比 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 33円(分割調整) | 基準年 | 26.1% |
| 2017年 | 33円(分割調整) | 維持 | 40.1% |
| 2018年 | 36円(分割調整) | 増配 | 15.6% |
| 2019年 | 37円(分割調整) | 増配 | 34.1% |
| 2020年 | 39円(分割調整) | 増配 | 30.8% |
| 2021年 | 46円(分割調整) | 増配 +7円 | 11.0% |
| 2022年 | 51円 | 増配 | 26.5% |
| 2023年 | 150円 | 特別増配 +99円 | 25.6% |
| 2024年 | 69円 | 減配 ▲81円 | 50.1% |
| 2025年 | 88円 | 増配 +19円 | 50.1% |
| 2026年(実績) | 133円 | 増配 +45円 | 107.6% |
| 2027年(予想) | 133円 | 維持 | — |
🐨 コアラ先生のひとこと
この銘柄を取り上げた理由:
「日本のスタートアップ・ベンチャー企業の成長に乗りたい」という投資家にとって、ジャフコは唯一無二の選択肢です。上場VC/PE会社として日本最大級の実績を持ち、自己資本比率84%・PBR0.89倍という財務面の魅力も兼ね備えています。「VC的な投資を株式市場から実践できる」という点が他の高配当株とは一線を画します。
初心者へのアドバイス:
最も重要な注意点は「配当が毎年大きく変動する」ということです。2023年に150円もらえたからといって、翌年も同じ水準を期待してはいけません。「業績が良い年に多くもらえる可能性がある高配当株」として位置づけ、ポートフォリオの一部(5〜10%程度)に限定して組み入れるのが安全です。
注意点:
VC/PEというビジネスモデルへの理解なしに「利回り5.8%の高配当株」として投資するのは危険です。配当性向107.6%という数字は「利益以上の配当を出している」ことを意味し、この状態が続くと持続可能性に疑問が生じます。事業の仕組みを理解した上で投資判断することを強くお勧めします。
こんな方に向いている銘柄・向いていない銘柄
IPO市場・スタートアップエコシステムの成長恩恵を、株式市場を通じて享受できる希少な投資機会です。
現在の株価は純資産(BPS 2,548円)を下回っています。「会社をバラバラにしても株価以上の資産がある」水準で保有できます。
業績が良い年に大きく還元され、業績が悪い年は少なくなることを理解した上で長期投資できる方。
有利子負債ほぼゼロ・自己資本比率84%と財務基盤は極めて堅固。倒産リスクは非常に低い水準です。
2023年150円→2024年69円という急落が示すように、毎年の配当額は大きく変動します。「安定した受取り」を求める方には向きません。
何で利益を得ているかが分かりにくいビジネスモデルです。自分が理解できないビジネスへの投資は、バフェットの言葉を借りれば「避けるべき」です。
ROE5.7%は低く、資本効率は高くありません。高ROE銘柄を重視するスタイルとは合いません。
VC市場が冷え込む年(2022〜2023年の調整期など)は業績・配当ともに厳しくなる可能性があります。
📋 まとめ:コアラ先生の総合評価
| 評価ポイント | 判定 | コアラ先生のコメント |
|---|---|---|
| 財務の安定性 | ◎ 非常に高い | 自己資本比率84.96%・有利子負債ほぼゼロ。PBR0.89倍と純資産を下回る水準は財務の堅牢性を裏付けています。 |
| 配当の継続性 | △ 変動が大きい | 業績連動型で毎年大幅変動。「最低ライン(株主資本の3%)」はあるが、金額の安定性は期待できない。 |
| 収益性・ビジネスモデル | △ 変動が大きい | VC/PE会社特性でIPO市場次第で収益が激変。ROE5.7%は低水準だが、当たり年は30%超になることも。 |
| 割安感 | ○ 割安水準 | PBR0.89倍は純資産割れ。「今の株価は会社の純資産より安い」という意味で割安感がある。 |
| リスク | △ 業種特性リスク | IPO・M&A市場の動向に業績・配当が大きく左右される。VC市場の低迷が長引くと配当の大幅減少リスクあり。 |
ジャフコグループは、「典型的な高配当株」ではなく「VC/PE投資を株式市場から実践できる特殊な金融銘柄」として評価すべき銘柄です。
自己資本比率84%・PBR0.89倍という財務面の魅力は本物ですが、配当が毎年大きく変動する(2023年:150円→2024年:69円)という事実は、「安定配当収入」を目的とする公務員投資家とは相性が悪い面があります。
一方で「スタートアップ企業の成長に間接的に乗れる」「PBR1倍を下回る割安な優良財務株」という側面は魅力的。ポートフォリオの10%以内に抑え、配当変動を許容できる余裕資金で「長期的に保有する一銘柄」として位置づけるなら、検討に値する銘柄といえます。まずはVC/PEのビジネスモデルをしっかり理解してから投資判断することが大前提です。
配当金・業績データ(出典:IRBANK)
配当金:https://irbank.net/8595/dividend
財務データ:https://irbank.net/8595/results
株式指標:https://irbank.net/8595/per
株式分割
2021年10月1日に1対3の株式分割を実施。グラフ・表の配当金・株価はすべて分割調整済みの数値で表示しています。
株価データ
グラフの株価はIRBANKの期末株価データ(分割調整済み)を使用。
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/8595.T
配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 期末株価 × 100 = 配当利回り(%)
現在の利回り:133円 ÷ 2,199円 × 100 ≈ 6.05%(2026年6月21日時点の株価基準)。
最新情報を確認する
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年5月26日時点のものです。 株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。
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「株主資本(期首・期末平均)の3%」と「当期純利益の50%」のいずれか大きい方
この方針により、利益が多い年は大きく増配し、利益が少ない年でも「株主資本の3%」という最低ラインが保証されます。現在のBPS(2,548円)×3%≒76円が下限の目安となります。