「配当利回り4.8%超なのに、現金が借金を大きく上回る無借金企業——そんな高配当株があったら気になりませんか?」
今回紹介する三ツ星ベルト(5192)は、自動車や産業機械に使われる「伝動ベルト(動力を伝えるゴムのベルト)」で国内トップクラスの老舗メーカーです。最大の特徴は、自己資本比率78%・実質無借金という極めて健全な財務に、配当利回り4.85%という高水準の還元が乗っていること。2021年に"物言う株主"が登場したことをきっかけに株主還元を大きく引き上げ、一気に高配当株へと変わりました。
ただし、「過去に配当が乱高下(250円→186円の減配)した」「配当性向が72%とやや高め」「ROEは7%台」という注意点もあります。コアラ先生がメリット・デメリットを包み隠さず解説します。
基本情報
三ツ星ベルトはどんな会社?
三ツ星ベルトは1919年(大正8年)に神戸で創業した、伝動ベルトの専業大手です。「伝動ベルト」と聞くとピンと来ないかもしれませんが、エンジンやモーターの動力をタイヤやファンに伝えるゴム製のベルト——自動車、農業機械、産業機械、OA機器など、あらゆる「動くもの」の内部で使われている縁の下の力持ちです。Vベルトやタイミングベルトの分野で国内屈指のシェアを持ち、海外売上比率も高く、アジア・北米を中心にグローバルに展開しています。建設・土木向けの防水シートなどの建設資材事業も手がけています。
地味なビジネスに見えますが、ベルトは消耗品のため交換需要(補修・アフター需要)が継続的に発生します。機械が動き続ける限り、ベルトは摩耗し、必ず交換が必要になる。この安定した需要を土台に、三ツ星ベルトは長年にわたって堅実な利益と分厚い自己資本を積み上げてきました。
- 自己資本比率78.2%——製造業として極めて高い、分厚い財務基盤
- 実質無借金のネットキャッシュ——現金258億円が有利子負債20億円を大きく上回る
- 配当利回り4.85%の高水準——株主還元の強化で高配当株に
- 売上は10年で増加基調——664億円(2017/3)→923億円(2026/3)へ拡大
- 配当が乱高下した歴史——57円(2021)→250円(2023)へ急増したあと、186円(2025)へ減配。今後も業績次第で変動余地
- 配当性向72.5%とやや高め——利益の多くを配当に回しており、大幅増配の余地は限定的。業績悪化時は減配リスク
- ROEは7.27%——潤沢すぎる現金が資本効率をやや押し下げている面がある
- 景気敏感・為替の影響——自動車・産業機械向けで景気の波を受け、海外売上比率が高いため円高は逆風
現在の株価・配当情報
三ツ星ベルトの配当は、2021年まで1株57円ほどでした。それが2022年に143円、2023年には250円へと一気に跳ね上がります。背景にあったのがアクティビスト(物言う株主)の登場です。「これだけ潤沢な現金を抱えているなら、もっと株主に還元すべきだ」という圧力を受け、会社は増配と自社株買いで株主還元を大幅に強化しました。その後250円→186円→191円と落ち着きましたが、還元水準そのものが一段高いところで定着したのが現在の姿です。つまり今の高利回りは、"強固な財務に、引き上がった株主還元が乗った"結果といえます。
スクリーニング指標
高配当株選びの参考指標です。数値はすべて参考程度にご確認ください。
| 指標 | この銘柄の数値 | 目安 |
|---|---|---|
| 配当利回り (株価に対する配当金の割合) |
4.85% | 3.5%以上 |
| 自己資本比率 (財務の安定度) |
78.2% | 40%以上 |
| 有利子負債倍率 (純資産に対する借金の割合) |
約0.02倍 | 1倍以下 |
| PER (株価収益率・割安度の目安) |
12.20倍 | 15倍以下 |
| PBR (株価純資産倍率) |
1.08倍 | 1.5倍以下 |
| 配当性向 (利益のうち配当に回す割合) |
72.5% | 20〜60% |
| ROE (自己資本利益率・経営効率) |
7.27% | 8%以上 |
| 営業キャッシュフロー (実際の現金の流れ) |
プラス(純利益10年連続黒字・現金258億円) | 必ずプラス |
| 連続増配年数 | 長期では還元水準が上昇。ただし2025年に減配(250→186円)あり | 10年以上で優良 |
| 時価総額 (会社全体の値段) |
約1,224億円 | 500億円以上 |
10年グラフ(配当・業績)
過去10年の配当金推移
※2018年の株式併合(2株→1株)を調整した1株あたり配当金です。
| 年度 | 1株あたり配当金 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2017年3月期 | 44円 | 基準年 |
| 2018年3月期 | 50円 | 増配 |
| 2019年3月期 | 60円 | 増配 |
| 2020年3月期 | 54円 | 減配 |
| 2021年3月期 | 57円 | 増配 |
| 2022年3月期 | 143円 | 大幅増配 |
| 2023年3月期 | 250円 | 大幅増配 |
| 2024年3月期 | 250円 | 維持 |
| 2025年3月期 | 186円 | 減配 ▼26% |
| 2026年3月期(実績) | 191円 | 増配 |
| 2027年3月期(予想) | 191円 | 維持(予想) |
🐨 コアラ先生のひとこと
この銘柄を選んだ理由:
三ツ星ベルトに注目したのは「超健全な財務 × 高い還元」という珍しい組み合わせです。自己資本比率78%・現金258億円・有利子負債20億円という、ほぼ無借金の超健全企業が、配当利回り4.85%を出している。これは"物言う株主"をきっかけに会社が株主還元へ本気で舵を切った結果です。財務の安全性と高配当を同時に取りにいける銘柄は、そう多くありません。
初心者へのアドバイス:
高利回りに飛びつく前に、「なぜ高いのか」を知ることが大切です。三ツ星ベルトの場合は"財務に余裕があるから還元している"という健全な理由ですが、配当性向は72%とやや高め。利益が減れば配当も減る可能性があります。実際2025年には減配もありました。高配当ポートフォリオの一角として、増配が安定している銘柄と組み合わせて持つのが安心です。
注意点:
この会社の配当は、良くも悪くも「方針次第で動く」性格があります。アクティビストの存在や経営判断で大きく増えた一方、業績や還元方針の変化で減ることもあります。また自動車・産業機械向けのため景気の波を受け、海外売上が多いぶん円高局面では利益が伸び悩むこともあります。「安定配当」というより「高還元だが変動あり」と捉えましょう。
こんな方に向いている / 向いていない銘柄
- 配当利回り4%以上の高水準を今ほしい人
- 実質無借金・自己資本78%という財務の安心感を重視する人
- 株主還元を強化している企業に乗りたい人
- PER12倍台の手頃な大型株を探している人
- 景気敏感リスクを理解したうえで分散投資できる中上級者
- 「10年連続増配」のような安定増配株だけを求める人
- 配当性向の高さ・減配リスクを避けたい人
- PBR1倍割れの明確な割安株を狙いたい人
- ROE10%以上の高効率企業だけを選びたい人
- 景気後退・円高局面の業績変動を避けたい人
まとめ:コアラ先生の総合評価
| 評価軸 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 配当利回り | ★★★★★ | 4.85%は高配当株として十分な水準 |
| 財務健全性 | ★★★★★ | 自己資本比率78.2%・実質無借金・現金258億円と文句なし |
| 増配継続性 | ★★★☆☆ | 還元水準は大きく上昇したが、2025年に減配あり。乱高下しやすい |
| 割安度 | ★★★☆☆ | PER12.2倍は手頃。ただしPBR1.08倍で激安水準ではない |
| 成長性・収益性 | ★★★☆☆ | 売上は10年で約1.4倍と成長。ただしROE7.27%とやや低め |
配当金・業績データ
IRBANK:https://irbank.net/5192/dividend
財務データ:https://irbank.net/5192/results
株価データ
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/5192.T
配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 現在株価 × 100 = 配当利回り(%)
株式併合について
本記事のグラフ・表の1株配当金は、2018年10月に実施された株式併合(2株→1株)を反映した数値に統一しています。
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年6月25日時点のものです。 株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。
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