大阪市に本社を置く住友倉庫株式会社(証券コード:9303)。 住友グループの一員として、倉庫業・港湾運送業・海運業・不動産業を手がける総合物流企業です。 明治32年(1899年)創業という127年の歴史を持ち、国内外の倉庫ネットワークと 港湾オペレーション能力を強みとしています。
この銘柄が注目される理由は10年連続増配(2016〜2025/3期)・自己資本比率61%という 優れた財務健全性です。一方で、2022年の海運バブル消退後に売上・営業利益が調整局面に入っており、 株価の大幅上昇によって現在の配当利回りは約2.6%と、 いわゆる「高配当株」の一般的な目安(3%以上)を下回っています。
コアラ先生は、この銘柄を「財務優良な配当成長株」として正直に評価します。 利回りの現実と、長期的な配当成長の実績を、IRBANKのデータをもとに解説します。
2020〜2022年、新型コロナウイルスによる物流の混乱でコンテナ運賃が歴史的な水準まで急騰しました。
住友倉庫は港湾運送業・海運業も手がけており、この「海運バブル」の恩恵を直接受けた銘柄です。
2022/3期は売上2,315億円・営業利益277億円と過去最高業績を達成し、
配当を48円→97円(約倍増)と大幅に引き上げました。
翌2023/3期にはEPS281円と過去最高の1株利益を記録しています。
ただし2023年以降、海運・港湾市況は正常化。2026/3期の営業利益は114億円と
ピーク(277億円)の約41%水準まで縮小しています。
足元の配当103円は、この業績水準でも自己資本比率61%の財務体力があるから維持できています。
基本情報
現在の株価・配当情報
2027/3期の会社予想はEPS225.68円・売上2,000億円・営業利益122億円(前期比+7%)。 配当予想は正式に発表されていませんが、配当性向44%前後・103円維持が想定されます。 2026年3月末の株価4,285円ベースでは利回り約2.4%。 仮に株価が3,500円前後まで戻れば利回りは3%近くになります。 長期的な配当成長(2017→2026年で31→103円、3.3倍)の観点で評価する銘柄です。
スクリーニング指標
数値はIRBANKの2026年5月21日時点のデータです。
| 指標 | 住友倉庫の数値 | 目安・判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り (株価に対する配当金の割合) |
約2.6%(2026/3期実績103円ベース) | 🔴 3%未満(株価上昇により低下) |
| 連続増配年数 (増配の継続実績) |
10年連続増配(2016〜2025/3期) | ✅ 10年以上(2026/3期は103円で維持) |
| 配当性向 (利益のうち配当に回す割合) |
44.6%(2026/3期) | ✅ 75%以下(余裕あり) |
| 自己資本比率 (財務の安定度) |
61.2%(2026/3期) | ✅ 40%以上(非常に健全) |
| ROE (自己資本利益率・経営効率) |
5.63%(2026/3期) | ⚠️ 8%未満(BPS拡大が要因) |
| PBR (株価純資産倍率) |
1.04倍(2026/3期末) | ✅ 1.5倍以下(BPS4,117円に対し適正水準) |
| PER (株価収益率・割安度の目安) |
17.5倍(2026/3期末) | ⚠️ やや高め(15倍基準では上回る) |
| 時価総額 (会社全体の値段) |
約3,331億円 | ✅ 300億円以上(大型株・流動性良好) |
| 減配なし(直近10年) | なし(2016〜2025/3期は全て増配) | ✅ 10年間一度も減配せず |
9項目中6項目クリア。現在の利回り・ROE・PERが基準を下回りますが、 財務の健全性と配当継続性は高く評価できます。「高配当株」より「配当成長株」として捉えると整合的です。
10年グラフ
配当金推移(2017〜2026年度)
※2017〜2021年のEPSは配当性向から逆算した推算値。2022年以降はIRBANK実績値。
| 年度 | 1株あたり年間配当金 | EPS(概算) | 配当性向 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 2017/3期 | 31円 | 約87円 | 35.5% | 基準年 |
| 2018/3期 | 33円 | 約95円 | 34.8% | 増配 +2円 |
| 2019/3期 | 45.5円 | 約80円 | 57.0% | 増配 +12.5円(配当性向引き上げ) |
| 2020/3期 | 47円 | 約106円 | 44.4% | 増配 +1.5円 |
| 2021/3期 | 48円 | 約102円 | 47.2% | 増配 +1円 |
| 2022/3期 | 97円 | 242.6円 | 40.0% | 増配 +49円(海運バブル・倍増) |
| 2023/3期 | 100円 | 281.1円 | 35.6% | 増配 +3円 |
| 2024/3期 | 101円 | 158.0円 | 63.9% | 増配 +1円 |
| 2025/3期 | 103円 | 257.3円 | 40.0% | 増配 +2円 |
| 2026/3期(実績) | 103円 | 230.9円 | 44.6% | 維持(10年連続の後、横ばい) |
財務の安定性と業績推移
2022〜2023年が業績ピーク。その後は海運市況の正常化で調整局面。財務は一貫して健全です。
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | EPS | 自己資本比率 | ROE |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022/3期 | 2,315億円 | 277億円 | 197億円 | 242.6円 | 54.4% | 9.68% |
| 2023/3期 | 2,239億円 | 261億円 | 225億円 | 281.1円 | 56.3% | 10.33% |
| 2024/3期 | 1,847億円 | 132億円 | 125億円 | 158.0円 | 58.4% | 4.90% |
| 2025/3期 | 1,934億円 | 133億円 | 201億円 | 257.3円 | 60.0% | 7.61% |
| 2026/3期(実績) | 1,962億円 | 114億円 | 177億円 | 230.9円 | 61.2% | 5.63% |
| 2027/3期(予想) | 2,000億円 | 122億円 | 172億円 | 225.7円 | — | 約5.5% |
2022〜2023年は海運バブルにより売上・営業利益が急拡大。 2024年以降は海運運賃の正常化で売上が1,847億円まで急減。 ただし営業CFは一貫してプラスを維持しており、本業の安定性は高いと評価できます。
注目すべきは自己資本比率が毎年上昇し続けている点(2022年54.4%→2026年61.2%)。 業績が落ちても財務は強化されており、BPS(1株純資産)は2022年の2,519円から 2026年の4,117円へ大幅に拡大しています。ROEが低く見えるのは、 この「BPSの積み上がり」が主因です。
2025/3期の純利益が201億円と急増した背景には、営業利益133億円に対して 営業外収益(投資収益・不動産売却益等)が加わった特殊要因が含まれます。 2026/3期以降は正常な利益水準(EPS220〜250円前後)への収束が想定されます。
🐨 コアラ先生のひとこと
「高配当株」か「配当成長株」か:
住友倉庫は現在の利回り2.6%だけを見ると「高配当株ブログで紹介するには低い」と思われるかもしれません。
しかしコアラ先生が重視するのは「10年前に買っていたら今の利回りはいくらか」という視点です。
2017年に1,372円で購入していれば、今の配当103円はコスト利回り7.5%になります。
これが「配当成長投資」の醍醐味です。
今から買うべきか:
今の株価4,285円で購入した場合の利回りは2.6%。コアラ先生が通常スクリーニングに使う3%基準は下回ります。
ただし①自己資本比率61%②10年連続増配③44%の配当性向という「配当の安全余力」を考えると、
長期保有前提で積立投資に組み込む候補として検討する価値はあります。
株価が3,500円前後に調整する局面(利回り3%近傍)があれば、積極的に検討したいと思っています。
リスクを忘れずに:
住友倉庫の事業は海運・港湾市況の影響を受けます。
2022〜2023年のような海運バブルは「例外的な特需」であり、その水準の利益が続く保証はありません。
2027/3期予想で売上2,000億・営業利益122億はあくまで予想です。
また、株価がすでに大幅上昇しているため、今後の株価上昇余地は限られる可能性があります。
最新情報は必ずIRBANKや会社のIRページでご確認ください。
配当金・業績データ(出典:IRBANK)
配当金:https://irbank.net/9303/dividend
財務データ:https://irbank.net/9303/results
株式指標:https://irbank.net/9303/per
株価データ
株価グラフの値はIRBANKに掲載の期末株価データを使用しています。
正確な現在株価はYahoo!ファイナンスでご確認ください。
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/9303.T
配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 株価 × 100 = 配当利回り(%)
本記事の配当利回りは103円 ÷ 4,285円 × 100 ≈ 2.6%(2026年3月末時点の株価基準)。
EPS(2017〜2021年)の推算方法
2017〜2021年分のEPSは、IRBANKに掲載の「配当性向」から逆算した推算値です(EPS = 配当金 ÷ 配当性向)。
2022〜2026年分はIRBANK財務データの実績値です。
最新情報を確認する
最新の株価・配当情報は必ず以下でご確認ください。
【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年5月21日時点のものです(出典:IRBANK)。 株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。
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