東京都渋谷区に本社を置く株式会社学究社(証券コード:9769)。 「ena(エナ)」ブランドで首都圏を中心に個別指導・集団指導塾を展開する教育企業です。
学究社が高配当株投資家の間で特に注目される理由の一つが、 ROE(自己資本利益率)26%超という驚異的な数字です。 製造業の超優良企業でも10〜15%程度が多い中、26%超というROEは日本の上場企業でも トップクラスの資本効率の高さを示しています。 しかも、2027/3期の予想配当利回りは5.05%と高配当の基準を大きく上回っています。
「教育株は少子化が心配」という先入観を持ちがちですが、 学究社の10年間の業績は売上・利益ともに右肩上がりです。 その秘密は公立中高一貫校受検に特化した差別化戦略にあります。 コアラ先生がIRBANKのデータをもとに徹底解説します。
基本情報
現在の株価・配当情報
2016〜2020/3期は60円で安定推移していた配当金が、2021/3期から増配を開始。 2026/3期に実績103円(前期比+13円)を計上し、 2027/3期の予想はさらに大幅増の127円(+24円)と発表されています。 予想配当利回り5.05%は、高配当株の中でも上位水準です。 業績の拡大に連動して還元水準が急速に切り上がっており、 「増配の勢いが加速している」点が投資家の注目を集めています。
スクリーニング指標
数値はIRBANKの2026年5月21日時点のデータです。
| 指標 | 学究社の数値 | 目安・判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り (株価に対する配当金の割合) |
5.05%(2027/3期予想127円ベース) | 3.5%以上 ✅ |
| 自己資本比率 (財務の安定度) |
65.0%(2026/3期) | 40%以上 ✅ |
| PER (株価収益率・割安度の目安) |
12.23倍(2027/3期予想EPS 201円ベース) | 15倍以下 ✅ |
| PBR (株価純資産倍率) |
3.27倍 | ⚠️ 高い(ROEが高いため:後述) |
| 配当性向 (利益のうち配当に回す割合) |
60.6%(2026/3期) | ⚠️ やや高め(60%上限付近) |
| ROE (自己資本利益率・経営効率) |
26.75%(2027/3期予想) | 8%以上 ✅✅(非常に高い) |
| 連続無配当なし年数 | 2016年以降10年間減配なし | 継続性あり ✅ |
| 時価総額 (会社全体の値段) |
約269億円 | 100億円以上 ✅ |
PBRが3.27倍というのは、コアラ先生のスクリーニングでは「1.5倍以下」が目安なので 大きく外れています。しかし、これは必ずしも「割高」を意味しません。
PBRとROEには次の関係があります:PBR ≒ ROE × PER
学究社の場合:26.75% × 12.23倍 ≒ 3.27倍
ROEが26%もあるため、BPS(1株あたり純資産)が毎年急速に増加します。 現在のPBRが高くても、1〜2年後にはBPSが増えてPBRが自然に下がっていく構造です。 「ROEが高い優良企業のPBRは自然と高くなる」——これはウォーレン・バフェットが 重視した考え方とも共通しています。PBRだけで判断せず、ROEとセットで見ることが重要です。
10年グラフ
配当金推移(2016〜2027年度)
| 年度 | 1株あたり年間配当金 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2016/3期 | 60円 | 基準年 |
| 2017/3期 | 60円 | 維持 |
| 2018/3期 | 60円 | 維持 |
| 2019/3期 | 60円 | 維持 |
| 2020/3期 | 60円 | 維持(コロナ禍でも無減配) |
| 2021/3期 | 65円 | 増配 +5円 |
| 2022/3期 | 75円 | 増配 +10円 |
| 2023/3期 | 87円 | 増配 +12円 |
| 2024/3期 | 87円 | 維持 |
| 2025/3期 | 90円 | 増配 +3円 |
| 2026/3期(実績) | 103円 | 増配 +13円 |
| 2027/3期(予想) | 127円 | 増配予想 +24円(+23.3%) |
財務の安定性と収益力
学究社の財務は、教育株の中でも際立って収益効率が高いのが特徴です。
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 自己資本比率 | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2016/3期 | 97.1億円 | 14.1億円 | 14.5% | 51.2% | 31.7% |
| 2018/3期 | 103.0億円 | 15.8億円 | 15.3% | 53.6% | 29.1% |
| 2020/3期 | 109.2億円 | 14.9億円 | 13.6% | 46.0% | 23.5% |
| 2021/3期 | 112.9億円 | 18.6億円 | 16.5% | 42.8% | 26.7% |
| 2022/3期 | 123.8億円 | 23.3億円 | 18.8% | 49.9% | 30.6% |
| 2023/3期 | 129.9億円 | 27.6億円 | 21.3% | 54.2% | 32.5% |
| 2024/3期 | 132.0億円 | 26.9億円 | 20.4% | 59.5% | 28.2% |
| 2025/3期 | 132.9億円 | 26.2億円 | 19.7% | 60.3% | 25.4% |
| 2026/3期 | 130.7億円 | 29.0億円 | 22.2% | 65.0% | 22.6% |
特筆すべき点が2つあります。ひとつは営業利益率の上昇です。 2016/3期の14.5%から2026/3期は22.2%まで着実に改善しています。 同じ売上規模でも、生徒数の増加や校舎の効率化によって利益がより多く残るようになっています。
もうひとつは自己資本比率の上昇です。2016/3期の51.2%から2026/3期には65.0%へと 約14ポイント改善しました。ROEが高いにもかかわらず自己資本比率も上昇しているのは、 それだけ純利益の蓄積ペースが速いことを示しています。
2026/3期の売上がわずかに減少(-1.66%)している点は要注意ですが、 同期の営業利益は29.0億円と過去最高水準を更新しており、 収益性の改善が売上の微減を吸収しています。
🐨 コアラ先生のひとこと
この銘柄に注目した理由:
学究社の最大の魅力はROE 26%超という突出した資本効率です。
少ない自己資本で大きなリターンを生み続ける企業は、長期投資において複利の恩恵を
最大限に享受できます。加えて、2027/3期の予想利回り5.05%は純粋に魅力的な水準です。
公立中高一貫校受検という「競合が参入しにくいニッチ」を押さえている点も評価しています。
初心者へのアドバイス:
PBR 3.27倍と聞いて敬遠する方も多いと思います。しかし前述のとおり、
ROEが高い優良企業のPBRは自然と高くなります。重要なのは、その高いROEが持続するかどうかです。
学究社の場合、公立中高一貫校という差別化されたブランドと、
首都圏での校舎展開による固定費の分散が、高いROEの持続を支えています。
高配当+高ROEの組み合わせを求める方は研究する価値があります。
注意点:
①時価総額269億円と小さめのため、流動性には注意が必要です。大口の売買で株価が大きく動く可能性があります。
②2027/3期の予想配当127円は業績予想ベースです。業績が下振れた場合、配当も修正される可能性があります。
③2024/3期は87円維持(増配なし)でした。業績が横ばいの年は増配が止まるケースがあります。
④少子化の長期トレンドリスクは継続してモニタリングが必要です。
最新情報は必ずIRBANKや会社のIRページでご確認ください。
こんな方に向いている銘柄・向いていない銘柄
少ない自己資本で大きな利益を生む体質は、長期的な複利効果を最大化します。「バフェット型」の投資観を持つ方に刺さる銘柄です。
2027/3期予想の5.05%は高配当株の中でも上位水準。10年減配なしという実績に裏付けられた配当です。
東京都・神奈川の公立中高一貫校受検という「競合が入りにくい市場」を持つ企業。ビジネスの強みを理解できる方に向いています。
2026/3期103円→2027/3期予想127円と増配ペースが加速中。「これからさらに配当が増えそう」な成長感を求める方に。
PBR 3.27倍は純資産の3倍以上の評価。「安く買う」感覚では割高に見えます(ROE26%の対価ですが)。
時価総額269億円の小型株です。1日の売買高が少なく、大口売買で株価が大きく動く可能性があります。
中長期的な子ども人口の減少は、塾業界全体の構造的リスクです。この点を受け入れられない方には不向きです。
2026/3期の配当性向は60.6%とやや高め。業績が下振れると配当維持が難しくなるリスクがあります。
📋 まとめ:コアラ先生の総合評価
| 評価ポイント | 判定 | コアラ先生のコメント |
|---|---|---|
| 財務の安定性 | ○ 良好 | 自己資本比率65%・無借金経営。ROEが高いため自己資本はそれほど厚くないが、健全な水準。 |
| 配当の継続性 | ◎ 優秀 | 2016年から10年間減配なし。コロナ禍も60円を維持。2021年以降の増配ペースが加速しており信頼感が高い。 |
| 収益性・ビジネスモデル | ◎ 突出 | ROE26%超・営業利益率22%超は日本の上場企業トップクラス。公立中高一貫校特化という堀が収益力を支える。 |
| 割安感 | △ 条件付き | PBR3.27倍は一見高いが、ROE26%×PER12倍の数式の結果。PERは12倍と割安。ROEが維持されれば正当な評価。 |
| リスク | △ 注意点あり | 時価総額269億円の小型株・少子化リスク・配当性向60%台は要注意。流動性リスクを理解して保有を。 |
学究社は「ROE26%超・配当利回り5%超・10年減配なし」という三拍子が揃った、 国内の高配当成長株の中でも特に個性的な銘柄です。
公立中高一貫校受検という参入障壁の高いニッチ市場での圧倒的シェアが、 高い収益性の源泉です。PBR3.27倍は「高ROEの対価」として理解できれば、 現在のPER12倍水準は決して高くありません。
投資する際は、①2027/3期の業績・配当予想が実現するか、 ②少子化の影響が受験率の上昇で相殺され続けるか、 ③小型株ゆえの流動性リスク——の3点を理解したうえで、 少額からスタートすることをおすすめします。
配当金・業績データ(出典:IRBANK)
配当金:https://irbank.net/E04796/dividend
財務データ:https://irbank.net/E04796/results
株式指標:https://irbank.net/E04796/valuation
株価データ
グラフ内の年末株価は「配当金 ÷ 配当利回り」から逆算した概算値です。
正確な株価はYahoo!ファイナンスでご確認ください。
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/9769.T
配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 現在株価 × 100 = 配当利回り(%)
本記事の配当利回りは2027/3期予想127円 ÷ 2,546円 × 100 ≈ 4.99%で計算しています(2026年6月21日時点)。
最新情報を確認する
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年5月21日時点のものです(出典:IRBANK)。 株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。
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