岐阜県大垣市に本社を構えるセイノーホールディングス株式会社(証券コード:9076)。 「西濃運輸」ブランドで知られる、日本を代表する陸運・物流グループの持株会社です。 時価総額約4,850億円の東証プライム上場の大型株です。
宅配便・路線トラック・チャーター便・3PLなど幅広い物流サービスを展開し、 全国に約200カ所以上の営業所を持つインフラ的存在です。 「物流が止まれば日本経済が止まる」という文脈で語られる社会インフラ型ビジネスを担う企業です。
コアラ先生がこの銘柄に注目した理由は大きく2つ。ひとつはPBR 0.95倍という1倍割れの割安水準。 もうひとつは「DOE(株主資本配当率)4%以上」という独自の配当方針です。 利益が少ない年でも一定水準の配当を支払う仕組みが、高配当株投資家の注目を集めています。 IRBANKのデータをもとに徹底解説します。
通常の配当性向(EPS × ○%)と異なり、DOE(Dividend On Equity)は 自己資本(純資産)に対して一定割合の配当を行う方針です。
計算例:BPS(1株純資産)2,732円 × DOE4% = 約109円
利益が減少しても純資産の残高に連動して配当が決まるため、 業績変動の影響を受けにくく、株主にとっては安心感があります。 ただし、2021/3期のようにコロナ禍で業績が大幅悪化した際には 39円→27円の大幅減配が発生した経緯もあり、「絶対に減配しない」という保証ではない点は 念頭に置いてください。
基本情報
現在の株価・配当情報
2022/3期まで30円前後だった配当金が、2023/3期に56円(+27円)、 2024/3期には100円(+44円)と、わずか2年で3倍以上に急増。 これは「DOE4%以上」の配当方針に基づき、蓄積された純資産(BPS)に連動する配当が 業績回復とともに一気に引き上げられたためです。 2025/3期102円、2026/3期104円と高水準が継続しています。 また、PBR 0.95倍という解散価値を下回る水準も注目点です。 「割安な大型物流株+4%超の高配当」という組み合わせが投資家の関心を集めています。
スクリーニング指標
数値はIRBANKの2026年5月21日時点のデータです。
| 指標 | セイノーHDの数値 | 目安・判定 |
|---|---|---|
| 配当利回り (株価に対する配当金の割合) |
3.84%(2026/3期実績104円ベース) | 3.5%以上 ✅ |
| 自己資本比率 (財務の安定度) |
56.1%(2026/3期) | 40%以上 ✅ |
| PER (株価収益率・割安度の目安) |
15.25倍(2027/3期予想EPS169円ベース) | ⚠️ 15倍ちょうどの境界水準 |
| PBR (株価純資産倍率) |
0.95倍(PBR1倍割れ) | 1.5倍以下 ✅✅(解散価値以下) |
| 配当性向 (利益のうち配当に回す割合) |
66.2%(2026/3期) | ⚠️ やや高め(60%超) |
| ROE (自己資本利益率・経営効率) |
6.2%(2027/3期予想) | ⚠️ 8%未満(陸運業の特性:後述) |
| 営業キャッシュフロー (実際の現金の流れ) |
+566億円(2026/3期) | プラス ✅ |
| 時価総額 (会社全体の値段) |
約4,850億円 | 100億円以上 ✅(大型株) |
ROEが6%台と低い点は、陸運業の特性によるものです。 トラック・倉庫・土地などの多額の固定資産が必要なビジネスのため、 分母の自己資本が大きくなり、ROEが下がりやすい構造です。 業種平均と比較すると適正水準であり、単純に他業種と比べてNG判定とするのは適切ではありません。
10年グラフ
配当金推移(2016〜2026年度)
| 年度 | 1株あたり年間配当金 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2016/3期 | 28円 | 基準年 |
| 2017/3期 | 27円 | 減配 -1円 |
| 2018/3期 | 30円 | 増配 +3円 |
| 2019/3期 | 32円 | 増配 +2円 |
| 2020/3期 | 39円 | 増配 +7円 |
| 2021/3期 | 27円 | 減配 -12円(コロナ禍) |
| 2022/3期 | 29円 | 増配 +2円 |
| 2023/3期 | 56円 | 増配 +27円(+93%・DOE方針引き上げ) |
| 2024/3期 | 100円 | 増配 +44円(2倍・別途積立金取り崩し) |
| 2025/3期 | 102円 | 増配 +2円 |
| 2026/3期(実績) | 104円 | 増配 +2円(高水準継続) |
財務の安定性と業績推移
陸運業大手として、売上・利益ともに長期的な右肩上がりが続いています。
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 自己資本比率 | 営業CF |
|---|---|---|---|---|---|
| 2016/3期 | 5,555億円 | 262億円 | 189億円 | 63.0% | +306億円 |
| 2018/3期 | 5,961億円 | 279億円 | 200億円 | 63.4% | +413億円 |
| 2020/3期 | 6,256億円 | 297億円 | 258億円 | 65.1% | +350億円 |
| 2021/3期 | 5,920億円 | 246億円 | 167億円 | 62.4% | +387億円 |
| 2023/3期 | 6,315億円 | 285億円 | 190億円 | 63.2% | +393億円 |
| 2024/3期 | 6,428億円 | 234億円 | 146億円 | 62.4% | +484億円 |
| 2025/3期 | 7,374億円 | 299億円 | 193億円 | 51.5% | +527億円 |
| 2026/3期 | 8,130億円 | 376億円 | 236億円 | 56.1% | +566億円 |
2026/3期の業績は売上8,130億円・営業利益376億円と過去最高を更新しました。 「物流2024年問題」(ドライバーの時間外労働規制強化)により、 荷主企業が運賃値上げを受け入れざるを得なくなり、 運賃単価の改善が売上・利益を押し上げました。
2025/3期に自己資本比率が65%から51.5%へ大幅低下しています。 これはM&Aや積極的な設備投資(物流センターなど)による借入金の増加が主因とみられます。 2026/3期は業績回復により56.1%に改善しています。 長期的には安定した財務を維持してきた企業であり、この低下を過度に懸念する必要はないと コアラ先生は判断していますが、今後の推移は継続的に確認が必要です。
🐨 コアラ先生のひとこと
この銘柄に注目した理由:
セイノーHDの魅力はPBR1倍割れ×配当利回り4%超という組み合わせです。
PBR0.95倍は会社の解散価値を株価が下回っていることを意味します。
これは「株式市場がこの会社を不当に安く評価している可能性がある」サインです。
東証がPBR1倍割れ企業への改善要請を続けている中、セイノーHDも
自己株買いや増配で株価価値の向上に取り組んでいます。
陸運インフラという景気耐性のあるビジネスで、4%の配当をもらいながら
PBRが1倍に戻る過程でのキャピタルゲインも期待できる銘柄です。
初心者へのアドバイス:
「ドライバー不足・物流網の効率化」という社会課題は今後も続きます。
セイノーグループは規模の大きさと全国ネットワークを活かし、
この課題の解決者として業績成長が期待できます。
ネット通販の拡大も物流需要を長期的に下支えします。
時価総額4,850億円の大型株なので流動性も高く、初心者にも扱いやすい銘柄です。
注意点:
①過去に2回の減配(2017年・2021年)がありました。「DOE4%以上」の方針はありますが、業績が大きく悪化した場合は減配の可能性があります。
②ROEが6%台と低めです。大量の固定資産を抱える陸運業の特性ではありますが、
資本効率の改善が株価上昇の鍵を握ります。
③2024/3期は配当性向119%と純利益を上回る配当を支払いました。
これは別途積立金の取り崩しによるものですが、持続性の観点から注意が必要です。
2026/3期には66.2%と正常化しています。
最新情報は必ずIRBANKや会社のIRページでご確認ください。
配当金・業績データ(出典:IRBANK)
配当金:https://irbank.net/E04198/dividend
財務データ:https://irbank.net/E04198/results
株式指標:https://irbank.net/E04198/valuation
株価データ
グラフ内の年末株価は「配当金 ÷ 配当利回り」から逆算した概算値です。
正確な株価はYahoo!ファイナンスでご確認ください。
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/9076.T
配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 現在株価 × 100 = 配当利回り(%)
本記事の配当利回りは2026/3期実績104円 ÷ 2,619円 × 100 ≈ 3.97%で計算しています(2026年6月21日時点)。
最新情報を確認する
最新の株価・配当情報は必ず以下でご確認ください。
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年5月21日時点のものです(出典:IRBANK)。 株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。
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