高配当株を利回りの高い順に選んでいくと、気づかないうちに金融・不動産・商社ばかりになります。 偶然ではありません。スクリーニングの構造上、そうなるようにできています。
目安は1業種25%以内、最低4業種。 この記事では、その理由と、いま持っている銘柄が本当に分散できているかを確認する方法をお伝えします。
- 高配当株が特定の業種に偏る構造的な理由
- 1業種25%以内・最低4業種という目安の根拠
- 分散したつもりで分散できていない5つのパターン
- いま持っている銘柄を診断するチェックリスト
なぜ高配当株は勝手に偏るのか
配当利回りの高い順に並べると、上位に集まるのは決まった業種です。 銀行・保険・リース・不動産・商社。この5つがほぼ必ず顔を出します。
理由は3つあります。
- 成熟産業だから。大きな設備投資が不要なため、利益を配当に回しやすい
- 株価が評価されにくいから。成長性が乏しいと見られ、PBR1倍前後に抑えられやすい。分母の株価が低いと利回りは上がります
- 景気の影響を受けやすいから。将来の業績に不安があるぶん株価が割安になり、結果として利回りが高く見えます
つまり「利回りが高い」と「同じような性質の会社である」はセットで起きます。 利回りだけで選ぶと、性質のよく似た会社を集めることになります。
偏っていると何が起きるのか
同じ業種の会社は、同じニュースで同時に動きます。10銘柄持っていても、 全部が銀行なら、実質1銘柄を10倍持っているのと変わりません。
業種ごとに、何で下がるかを整理しました。
※横にスクロールできます
| 業種 | 追い風になるもの | 向かい風になるもの |
|---|---|---|
| 銀行・保険 | 金利上昇 | 金利低下、景気後退による貸倒れ増加 |
| リース・不動産 | 金利低下 | 金利上昇(借入コスト増) |
| 商社・資源 | 資源価格の上昇、円安 | 資源価格の下落、世界景気の減速 |
| 通信 | 景気に左右されにくい | 料金値下げの政策圧力 |
| 医薬品・食品 | 景気に左右されにくい | 円高(海外売上比率が高い場合) |
| 自動車・機械 | 円安、設備投資の回復 | 円高、世界景気の減速 |
| 建設・住宅 | 公共投資、住宅需要 | 金利上昇、資材価格の高騰 |
⚠️ 銀行とリースを両方持てば分散、ではありません
表を見ると、銀行は金利上昇で有利、リース・不動産は金利上昇で不利です。 この2つを組み合わせると、金利がどちらに動いても片方が下がります。
これは打ち消し合っているだけで、分散の効果は出ています。 問題なのは銀行と保険を両方持つようなケースです。どちらも金利で同じ方向に動くため、分散になりません。
目安は「1業種25%以内・最低4業種」
具体的な配分の目安です。
| 項目 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 1業種の上限 | 投資額の25%以内 | その業種が総崩れしても、資産の4分の1で済む |
| 業種の数 | 最低4業種、できれば6業種以上 | 4業種なら各25%で上限を満たせる |
| 1銘柄の上限 | 投資額の10〜15%以内 | 1社の減配で配当が大きく減らない |
600万円を投資する場合なら、1業種あたり150万円まで、1銘柄あたり60〜90万円まで。 6〜10銘柄を4〜6業種に配置する形になります。 必要な投資額の考え方は初心者のポートフォリオの作り方にまとめています。
分散したつもりで分散できていない5つのパターン
銘柄数を増やしても分散になっていないケースがあります。当ブログで扱った銘柄を例に挙げます。
① 同じ企業グループの銘柄を持っている
KDDI(9433)と沖縄セルラー電話(9436)は、 どちらも通信で、しかも沖縄セルラーはKDDIグループです。 2社に分けても、通信事業への集中は変わりません。
② 業種名が違っても、金利で同じ方向に動く
三菱UFJ(8306)は銀行、MS&AD(8725)は保険で、 業種分類は別です。しかしどちらも金利上昇が追い風という点で似ています。 金利が下がる局面では揃って売られます。
③ 同じ取引先に依存している
自動車関連は特に注意が必要です。 ニチリン(5184)、タチエス(7239)、 キムラユニティー(9368)は、それぞれゴムホース・シート・物流と業種が違います。 しかし最終的な需要はすべて自動車生産です。自動車が減産すれば3社とも影響を受けます。
④ 同じ川上・川下でつながっている
積水ハウス(1928)、グランディハウス(8999)、 ニホンフラッシュ(7820)は住宅・建材の関係にあります。 住宅着工戸数という同じ指標に業績が左右されます。
⑤ 全部が内需、または全部が外需
国内向けの会社ばかりだと、日本の景気と人口減少をまるごと引き受けます。 逆に輸出企業ばかりだと、為替が円高に振れたときに全部が下がります。 内需と外需の比率も確認してください。
診断チェックリスト
いま持っている銘柄を紙に書き出して、上から順に確認してください。 3つ以上チェックが付かない項目があれば、次の買い増しで補います。
- 4業種以上に分かれている
- 1つの業種が投資額の25%を超えていない
- 1つの銘柄が投資額の15%を超えていない
- 金融(銀行・保険・リース)の合計が30%を超えていない
- 景気に左右されにくい業種(通信・食品・医薬品・生活必需品)が1つ以上ある
- 同じ企業グループの銘柄が重なっていない
- 同じ最終需要(自動車・住宅など)に依存する銘柄が3社以上並んでいない
足りない業種の埋め方
高配当スクリーニングで出てこない業種は、意識して探す必要があります。
景気に左右されにくい業種を1つは入れる
通信・食品・医薬品・生活必需品は、不況でも需要が大きく減りません。 利回りは金融や不動産より低めですが、暴落時に下げ幅が小さく、減配もされにくいのが役割です。
当ブログで扱った銘柄では、JT(2914)、 武田薬品工業(4502)、KDDI(9433)などが該当します。
利回りが低くても入れる価値があります
沖縄セルラー電話(9436)の記事で触れたように、 利回りが低くても連続増配と財務の安定を評価されて買われ続ける銘柄があります。
ポートフォリオ全体の利回りが4%あれば十分です。 全銘柄が4%を超えている必要はありません。 利回り5%の銘柄と3%の銘柄を組み合わせても、平均は4%になります。
今から始める人は、業種を先に決めてください
これから買う人には、銘柄より先に業種の枠を決める方法をおすすめします。
- 買う業種を5つ決める(例:金融・通信・商社・医薬品・機械)
- 各業種に20%ずつ配分する
- その枠の中で、条件を満たす銘柄を1〜2社探す
この順番なら偏りようがありません。 銘柄の条件は買う前に見る5つの数字を使ってください。
すでに偏っている人は、慌てて売る必要はありません。 売らずに、次の買い増しで足りない業種を買う。これで時間をかけて比率が整います。 売却には税金と手数料がかかるため、買い増しで直すほうが有利です。
まとめ:銘柄数ではなく「下がる理由」を分散する
分散の本質は銘柄数ではありません。同時に下がる理由が重なっていないかです。
- 高配当株は金融・不動産・商社に自動的に偏る
- 1業種25%以内、最低4業種、1銘柄15%以内
- 企業グループ・取引先・金利感応度の重複を確認する
- 景気に左右されにくい業種を1つは入れる
- 偏りは売らずに、次の買い増しで直す
今日、保有銘柄を紙に書き出して業種を並べてみてください。 5分で自分の偏りが見えます。
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。記事中に挙げた銘柄は業種の重複を説明するための例示であり、購入を勧めるものではありません。配分の目安(1業種25%以内など)は一般的な考え方であり、適切な配分は資産額・年齢・目的により異なります。業種ごとの追い風・向かい風は傾向であり、個別企業の業績は事業内容や経営判断によって異なります。株式投資には株価変動・減配・元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。
